ものづくりベンチャーたくらみブログ

ものづくりベンチャーでの起業をたくらむ20代ハードウェアエンジニアtottiの道程

商品開発のQCDを理解して最適開発を実現する

概要

QCDはQuality/Cost/Deliveryの頭文字をとった略語で、ビジネスのフレームワークの一つです。このエントリではQCDを切り口に商品開発という仕事を考えることで、ものを作る仕事の理解を深め、必要に応じて使いこなすことで最適な開発に近づけることを目的とします。

商品開発のQCD

仕事の本質は"付加価値の創造"です。従って、すべての仕事はQCDでその価値を測定できます。(逆に言うと、QCDで測定できない活動は仕事とはみなせません)。商品開発の仕事ももちろん例外ではなく、その成果は以下のようなQCDで表すことができます。

  • Quality:作り上げる商品の品質
  • Cost:開発費用
  • Delivery:納期

"Cost"についてはものを作る原価の方が先に思い浮かぶ方もいるかもしれませんが、原価は商品自体の"Cost"であって開発の"Cost"とは区別します。商品の原価が安くなることは商品の付加価値が大きくなるということなので、原価が安くなる=商品開発のQualityが高くなると考えます。

開発計画=QCDのバランス調整

QCDは付加価値に直結するため、商品開発の最上流ともいえる開発計画に関わってきます。開発計画を検討する時点でQCDのバランスが整えられるのです。例えば、どのような質の商品をいつまでに作るかが決まれば開発費用は大よそ決まりますし、商品の質と開発費用が決まっている場合はそれで可能なところに納期が定められることになる、という具合です。言い換えると、開発計画 = 商品開発のQCDのバランスを整える作業ともいえます。QCDのバランスが整わない商品企画(作るのに多大なCostがかかるのにはQualityはそこそこ止まりなど)はボツになりますし、そうすべきです。

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QCDの関係式

QCDは互いに複雑な相互関係を持っています。この相互関係を定式化することを試みます。

まず、3つのパラメータのうち1つを固定した状態で1つを変化させたとき、残り1つのパラメータがどのように変化するかを定性的に考えてみます。例えばDeliveryを固定してCostを減らしたとすると、Qualityは当然下がります。

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このように全6パターンを考えていくと、以下のようになります。

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次にこれらの傾向と意味合いを考えていきます。

  • D一定の場合、Q⇔Cには正の相関があります。これは、同じ期間でより品質の高いものを作ろうとするとコストも上がるということを意味します。QとCの関係は比例ではなく、以下のような傾向があると予想されます(よりQualityの高いものを作ろうとすると、どんどんかかるコストが増えていくイメージ)。

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  • Q一定の場合、C⇔Dには負の相関があります。これは、同じ商品の質を担保しながら時間を短縮するにはコストを増やす必要があるということを意味します。単純に人数を倍にしても納期が半分にならないことからわかるように、この関係も比例ではなく徐々にコスト上昇幅が大きくなっていきます。

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  • C一定の場合、Q⇔Dには正の相関があります。これは、同じ開発費用で納期を短縮するには商品の品質を犠牲にせざるを得ないということを意味します。

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以上のように、QCDは互いに複雑な相関関係があります。このままでも使い勝手の良い考え方ですが、さらに使い勝手を良くするために大胆に単純化して考えてみます。全ての相関関係を比例関係に近似して考えると、QCDの相関関係は以下のような簡潔な関係式で表現することができます。

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これで、あるパラメータが変化したときにその他のパラメータがどのように変化するか直観的にわかるようになりました。例えば、納期を短くするには開発費用を増やすか商品品質を下げるかの2択であることがすぐにわかります。

まとめ

  • 商品開発のQCDはQ = "商品の品質"、C = "開発費用"、D = "納期"または"発売日"。
  • 企画や開発計画では、QCDのバランスが整っているかどうか確認することが重要。
  • QCDは互いに複雑な相関関係にある。割り切って単純化すると、Q = C × D で表すことができる。