ものづくりベンチャーたくらみブログ

ものづくりベンチャーでの起業をたくらむ20代ハードウェアエンジニアtottiの道程

クラウドファンディングはハードウェアスタートアップの最適解である

概要

今回のテーマはハードウェアスタートアップの商品開発時にクラウドファンディング(以下CF)を利用するメリットについてです。CFを利用するハードウェアスタートアップは年々増え続けており、もはや当たり前の選択肢となっています。今回はCFがなぜハードウェアスタートアップを立ち上げる最適解と考えられるのかを順を追って説明していきます。

ハードウェアスタートアップとクラウドファンディングの親和性

まず、ハードウェアスタートアップがCFを利用する状況を考えてみましょう。大よそ以下のような流れになります。

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商品を試作して開発のめどが立った段階でCFサービスを活用してキャンペーン展開し、資金調達に成功した場合のみ量産製造以降の工程に進むという進め方です。

ところで、CFで寄付を募集する場合はどれだけ寄付したらどれだけのお礼(リワードと呼ばれる)をお返ししますよ、という宣言をすることになります。ハードウェアデバイスの開発では「開発が成功した暁には商品を(タダで)プレゼントしますよ」といって、寄付金額を商品の予定販売額より少し少なめの金額設定とすることが一般的です。つまり、実質的には予約販売とほとんど変わりません。(※厳密には開発失敗などのリスクを負っている点が異なりますが、その差分は割引額に含まれていると考えるのが妥当でしょう。)CFを利用するということは、商品開発の途中の段階で予約販売の告知をしているのと同じなのです。このことは、スタートアップに以下のメリットをもたらします。

  1. 資金調達できる(商品力だけで!)
  2. 市場調査として機能する
  3. 宣伝できる
  4. ユーザーコミュニティを形成できる

1. 資金調達できる(商品力だけで!)

CFの本来の目的は資金調達なので、成功すれば当然資金を得ることができます。従来の資金調達方法と違うのは、商品力だけで資金調達が達成できる可能性があるということです。 従来の資金調達方法の代表としてはVC、銀行、助成金などが挙げられますが、いずれにも共通しているのが中長期的な"事業計画"を求められることです。また、VCは大きなリターンを狙うためにリスクを取る職業なので、当たった時にデカい、というような"将来性"の要因も重要視されます。 これらの内容も重要ではありますが、顧客にとってはプロダクト自身よりも重要ということはあり得ません。CFでは商品だけが資金調達の成否に関わります。

2. 市場調査として機能する

CFを利用することで、開発途中で市場に対して商品概要を説明して「この商品がいるかいらないか」という最も本質的な問いを投げかけることができます。そして、その問いに対する回答は身銭を切って行うことになるので、まさに正直なフィードバックを得ることができます。これは上質な市場調査として機能します。そのため、もしも資金調達が成功すれば商品像が間違っていなかったことも同時に証明で来たことになります。逆に言うと、もしも商品の方向性が間違っていた場合、最も多くの資金が必要となる量産製造のフェイズより前に過ちに気づくことができるのです。 スタートアップの失敗のうち最も多いのは早すぎる事業規模拡大と言われていますが、CFを利用するとそれを予防する効果を得られるということになります。

3. 宣伝できる

元祖Kickstarterを含めて無数にあるCFサービスは、常に魅力的なプロダクト・企画がキャンペーンされている最先端の情報発信場所となっています。そのため、常に注目されています。また、寄付するほど商品に惚れこんだ人による口コミ効果も期待できます。さらに言うと、CFサービス上の商品をチェックしているような人はキャズム理論で言うところのイノベーターやアーリーアダプターにあたるような人が大半を占めると思われるため、新しいデバイスのプレスリリースを掲載するには打ってつけのメディアと考えられます。

4. ユーザーコミュニティを形成できる

大企業に対するベンチャー企業の弱みとして、既存顧客のコミュニティを持たないことが挙げられますが、CFを利用することでその弱点をカバーできる可能性があります。多くのCFでは、商品に寄付するとその商品専用のHPへのアクセス権が付与されて、そこでは開発進捗の報告や寄付者同士のコミュニケーションができるような環境が整備されています。そのような環境では、商品の発売前から自然にユーザーコミュニティを発達させることが可能です。 ユーザーコミュニティの存在は商品の方向性を決めるうえで重要ですし、参入障壁になり得るという点でも意味があります。そのため、開発途中の段階でユーザーコミュニティが獲得できるということ自体にも大きな価値があると考えられます。


以上のように、CFというビジネスモデル自体がものづくりの為に生まれたのではないかと思うほど、ハードウェアスタートアップとCFの相性は抜群です。(べた褒めしすぎてCFの回し者みたいになってしまった感がありますが…;p)冷静に見てもメリット多数かつデメリットがない(と思っている)ため、今後スタンダードになっていく方法だと思います。

まとめ

参考にさせていただいたサイト