ものづくりベンチャーたくらみブログ

ものづくりベンチャーでの起業をたくらむ20代ハードウェアエンジニアtottiの道程

ものづくりベンチャーの仕事【2】 ものを売る仕事

前回の記事で、ものづくりベンチャーの仕事には大きく分けて三種類あるという話をしました。

  1. ものを作る仕事
  2. ものを売る仕事
  3. 会社を運営するために必要な仕事

今回は引き続き2. ものを売る仕事について詳しく考えていきます。

ものを売る仕事

ものを売ることに関わる仕事はたくさんありますが、すべて以下の4つのどれかに分類できます。

  1. 企画(どうやって売るか考える)
  2. プロモーション(商品を知ってもらう)
  3. 販売(商品を買ってもらう)
  4. 流通(商品を届ける)

※営業がないのに違和感がある人もいるかもしれませんが、営業の本質は2.プロモーションと3.販売を足し合わせた仕事と考えることができます。

順に見ていきます。

1. 企画

この内容は"ものを作る仕事"に含まれる企画と共通です。というのも、*作るもの自体とその売り方は同時に考える必要があるから*です。いつ誰がどこでどうやって売るかが考えられていなければ、何を作れば売れるのかを判断することはできません。そのため、企画のステップはものを作る仕事の一部でもあり、同時に売る仕事の一部でもあると考えられます。どちらかの観点が欠けた企画になると売れないものを作ることになりかねません。

2. プロモーション

プロモーションとは、商品に興味を持ってもらい、実際に買ってもらう行動に移させるための活動全体を指します。つまり、大まかには次の2ステップに分かれます。

  • 第一段階:商品への注意の喚起
  • 第二段階:商品の購買行動への動機づけ

例えばWeb広告やダイレクトメールなどの広告全般は、知らない人の目に触れることで"商品への注意を喚起"しているので第一段階に分類できます。一方、おしゃれな商品HPの整備や使用例を動画で説明するなどの施策は第二段階の動機づけに当たります。

プロモーションの選択肢はその性格上数限りなく種類があり、また日々新しい手法が生み出されています。また、売る商品によって適切なプロモーション方法が異なるため、メーカーが同業種のものを作り続けるポジティブな理由になり得ます。(∵同じ業種の商品であれば既存商品でノウハウのあるプロモーション方法を踏襲できる範囲が大きいため)

知名度が極めて低いベンチャーにとってプロモーションは欠かせない仕事ですが、資金も限られているためむやみな広告はできません。真に特徴的な商品を作ってファンを獲得し、口コミによって第一段階をクリアするのがものづくりベンチャーのあるべき姿だと考えています。

3. 販売

プロモーションが適切になされた場合、お客さんの次の行動はまさに"買う"事です。販売に関しては他の仕事と比べると選択肢は限られており、大体次の3つから選択することになります。

  • 直販(店舗 / 営業)
  • 小売店販売
  • ネットショップ

このうち元手の少ないものづくりベンチャーで採り得る選択肢は小売店販売もしくはネットショップの二択です。小売店販売はプロモーションの効果も見込めるため、営業力があればよい選択肢となります。実際、小さなものづくりベンチャーの商品でもLOFT等大手小売店の店頭に並んでいることは珍しくありません。逆に営業に力を入れる余裕がない場合や他のプロモーションが成功している場合はネットショップが良い選択肢になります。無料でネットショップを作れるサービス(STORES.jpなど)も多数あるため導入の障壁は高くありません。

4. 流通

メーカーは実際に体積のある"もの"を扱うため、必ずこの仕事が必要になります。さらに細かく内容を見ていくと、

  • 調達
  • 在庫管理
  • 受注処理
  • 輸送

など、他にもたくさんあります。商品の流通量=販売数量に比例してボリュームが増大するため、事業が波に乗った第二段階で大きな問題となることが予想できます。流通は規模の経済が働く領域なので、小さな会社が独自の流通網を持つのは最適ではありません。ものづくりベンチャーとして最適なのは、独自の流通網を整備するのではなく既存のフレームワークをうまく利用することです。Amazon Market Placeや保管・発送を代行してくれるサービス(上述のStores.jpの倉庫サービスなど)も多数あるので、商品特性に合わせて適切なものを選択します。


まとめ

今回は売る仕事の全体像について大まかに整理しました。長々と書いたものの、当たり前ですが作る前に売ることばかり考えていては意味がありません。売る仕事は軌道に乗っていないものづくりベンチャーにとっては"絵に描いた餅"、"とらぬ狸の皮算用"となりかねません。付加価値の本質は"ものを作る仕事"であるということを忘れないでおきましょう。

  • ものを売る仕事は4つに分類できる
    1. 企画
    2. プロモーション
    3. 販売
    4. 流通
  • ものづくりベンチャーでは口コミや既存のフレームワークなどをうまく利用していくことが重要
  • 付加価値の本質は"ものを作る仕事"。まずは良いものを作ることに注力する。

ものづくりベンチャーの仕事【1】 ものを作る仕事

何の準備をしていけば良いのか考えるため、まずはものづくりベンチャーがどんな仕事をしているか考えてみます。

ものづくりベンチャーは、言わずもがなですが世間一般で言うところの「メーカー」の小さい版です。メーカーは"モノを作って売る会社"なので、その仕事は次の3つに分類できます。

  1. ものを作る仕事
  2. ものを売る仕事
  3. 会社を運営するために必要な仕事

さらにひとつずつ細かく分類していきながら、スタートアップに必要な仕事内容を考えていきます。 今回は1. ものを作る仕事について考えていきます。

ものを作る仕事

ものづくりベンチャーの仕事として真っ先に思い浮かぶのはこれでしょう。ものを作るのにはいくつかステップがあります。

1. 発想

イデアとかネタとか呼ばれるものを作るステップです。これをやればできる、という決まりきったものではないため、素人でもできるしプロにも難しい仕事です。そのため、大企業に対してベンチャーが弱くなく、対抗しやすい領域と言えます。具体的な方法論を書いた書籍としてアイデアのつくり方イシューより始めよが有名です。

2. 企画

発想したアイデアからこれを作れば売れるという商品像に作り替えるステップ。アイデアが商品として売れるものになるかどうか判断するステップともいえます。何をいつどこで誰にどうやって売るか、なぜ売れるのか(必然性)を明確にすることが目的です。この段階ではユーザーヒアリング等の市場調査が必要となりますが、その点では既存企業にメリットがあります。一方で大企業では過去の成功を拠り所にして考えるあまり、全く新しい企画は通りにくい、という話もよく聞きます。

3. 開発

企画のステップで決めた通りの商品を作り上げるステップ。実際にはそっくりそのまま具現化できることはできないので、都度企画を修正しながら進めることになります。ものづくりと言えばこのステップのイメージがとても大きいですが、付加価値の量はむしろ発想や企画の方が大きいのが普通です。大きな資金が必要な開発内容では大企業に負ける可能性が高いので注意します。

4.生産

開発した商品を量産化するステップです。工場の手配、ライン設計や工程設計、材料の仕入れルート確立など、安定してモノを作り続けられる状態を確立するのが目的です。

外注化を考える

上記のものづくりの4ステップはすべて自社で行うこともできますが、一部外注化することもできます。例えば4.生産を外注化するOEMはものづくりベンチャーの常套手段です。OEMで生産を行い、自社で工場を持たないメーカーを指す"ファブレス"という言葉もあります。また、3. 開発まで合わせて外注化して、自社では付加価値の高い企画までのステップのみ行う(ODM)企業も増えています。さらにツイッター等のSNS上で「あなたの考えた○○が商品になるかも!」的なキャンペーンを行い、1.発想の仕事を外注化する施策を行う企業も見られます。ちなみに1~4まですべてを外注化するともはやメーカーではなくなり、公には卸売業に分類されるそうです。( ファブレス - Wikipedia より)

さて、様々な選択肢がある中でものづくりベンチャーが選択すべきなのは4.生産のみを外注化する方法だと考えています。理由は二つあります。

1つは開発資金が少ないため工場などの資産へ投資することが実質不可能であること。この制約により工場がなくても生産が間に合うような小ロットの商品以外では4.生産の外注化が本命になります。資金の借り入れやクラウドファンディングの利用等によって初期費用を捻出して工場を作ることは不可能ではないかもしれませんが、初期段階で大きな固定資産を持ってしまうのはリスクが大きすぎると判断します。

もう1つの理由は、3.開発までのステップを外注化してしまうと強いこだわりのない商品になる可能性が高いこと。ものづくりベンチャーが生き残るにはファンを作ることが必要条件※だと考えています。そのファンを作るためには、商品への強いこだわりが欠かせません。同じ理由で、商品自体だけでなく外装(箱や包み)やパンフレット、説明書に至るまで、お客さんとの接点となるものは全て自社でコントロールする必要があると考えています。

開発まで外注化するとノウハウが溜まらず継続的な経営が難しそう、開発楽しいとか理由は他にもちらほらありますが、決め手となったのは以上の2点です。この考えを元に発想~開発までは自分で進められるように準備していきます。また生産に関しては、どのような外注化の方法があるのかを調べて最適な方法を探します。


まとめ

  • ものを作る仕事には4つのステップがある
    1. 発想
    2. 企画
    3. 開発
    4. 生産
  • ものづくりベンチャーでは発想~開発までを自社で、生産は外注化するのが現時点での最善策

ものづくりベンチャーで起業したい!

僕は今、電機メーカーでハードウェアエンジニアとして働いています。そんな僕には野望があります。それは"好きな人と、好きなものを創る"ことです。この野望を実現するために、ものづくりベンチャーを立ち上げちゃおうとたくらみ始めました。

このブログでは技術ネタや起業ネタを中心に、日々悪戦苦闘する記録をつづっていこうと思います。

  • デバイスの企画→設計→試作までのものづくり日記
  • 世の中の技術動向
  • ものづくりベンチャーの動向

などなど。

tottiは果たして起業できるのか!? はたまた凡人の夢物語と終わるのか!? 温かい目で見守っていただけると幸いです。